出光創業家が昭和シェル株式40万株を取得 昭和シェル石油との合併を阻止する狙い
出光興産と昭和シェル石油の合併問題で反対を表明していた出光の創業家が、強硬手段に打って出ました。
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出光興産の大株主で創業家の長男出光昭介氏の代理人は3日、経営統合を阻止するため、昭介氏の名義で昭和シェルの株式40万株を取得したと明らかにしました。
会見で弁昭介氏の護士は
「この株式取得により意志を強く伝え、合併取りやめを決断してもらいたい。
現材の不安定な状況を早期に収束させたいという狙いであります。」
と説明しました。
TOB(株式公開買い付け)しかできない環境を作り出して、合併を阻止しようという狙いとみられます。
経営統合を防ぐために昭和シェルの株式を取得するのはなぜか?
経営側の計画では、ヨーロッパの石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株の33.3%を購入する予定です。
しかし昭介氏がおよそ0.1%にあたる40万株を取得したことで、出光興産関係者の持ち株比率が33.4%と3分の1を越えることになります。
3分の1を越える株式を取得する場合には、TOB(株式公開買い付け)を行わなければならないと法律で定められていて、元々1株1,350円、総額でおよそ1,700億円としていた購入価格が、TOBとなればさらに膨らみ合併計画が難しくなるということです。
株式公開買い付け(TOB)
TOBは「Take Over Bid」の略。
会社の経営権取得などのために、市場外で不特定多数の株主から株式を買い付けること。
目的や購入予定株数、価格などを事前に公表しなくてはならない。
議決権の3分の1を超える大規模な買収を市場外で行う場合は、原則としてTOBが必要となります。
株式市場では、出光興産がTOBに踏み切れば、高値で買い取ってもらえるとのが思惑が高まり、昭和シェルの株が買われ大きく値上がりしました。
[2016年7月11日]昭和シェル石油との経営統合について出光経営陣と創業家が会談
出光興産と昭和シェル石油の経営統合について、出光の大株主の創業家が反対している問題で、出光経営陣と創業家が会談をしましたが、議論はもの別れに終わりました。
出光興産は、昭和シェル石油と2017年4月に経営統合することで、2015年11月に基本合意しましたが、2016年5月の株主総会で名誉会長の出光昭介氏ら創業家が統合に反対する考えを表明しました。
7月11日の会談は、出光の月岡社長が出光美術館館長の出光昭介氏らを訪れる形で行われました。
創業家側は、「出光と昭和シェルでは企業体質が全く異なる」などとして、改めて反対する考えを示しましたが、
経営側は予定通り2016年9月に昭和シェルの株式を取得する方針を伝えるにとどまり、議論は物別れに終わりました。
創業家側は、出光株の3分の1以上を所有し、経営統合に対する拒否権を持つと主張していて、経営統合の計画が難航する可能性もあります。
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