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ソフトバンクグループが英ARM(アーム)ホールディングスを3兆3千億円で買収すると発表

企業

通信大手のソフトバンクグループは、半導体の設計を手がけるイギリスのARM(アーム)ホールディングスをおよそ3兆3千億円で買収すると発表しました。f:id:nisi617:20160720153233p:plain

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ソフトバンクグループは、今年の9月末までにイギリス裁判所などの承認を経て、ARMホールディングスの「発行済み株式」と「発行予定株式」のすべてを現金240億ポンド(日本円にしておよそ3兆3千億円)で取得し、完全子会社化する方針です。

日本企業による海外企業のM&A(買収案件)としては、過去最大の規模となります。

ARMホールディングスとは

ARMホールディングスは、スマートフォンタブレット端末などに使われる半導体やソフトウェアの設計・開発などをてがけ、製造・販売はしないものの、そのライセンスをメーカーに販売していて世界85%の圧倒的なシェアを持つ企業です。

主要事業
  • 半導体の設計に特価し、製造会社にライセンスを供与し利益を得ている。
  • 半導体の設計分野ではインテルと市場を2分している。パソコンはインテルが強いが、スマホ用ではAMRが9割のシェアを持っている。
  • 特に省電力設計に強みを持つ。
売上高

1,350億円(2015年12月期)

ソフトバンクの狙い

ソフトバンクは、ARM社の買収を通じてあらゆるものをインターネットにつなげる「IoT」の分野での技術開発を加速させる狙いがあります。

IoTインターネット・オブ・シングスとは、自動車や家電などをインターネットで結ぶ新しい技術のこと。

ロンドンで会見した孫正義社長は

「10年来考えていた。創業以来、最もエキサイティングな日だ。

創業以来最大の投資だが、たかが3兆円だと。 今から10年後に人々は安い買い物できたねと思ってもらえると考えます。

ソフトバンクとARMは次にやってくる最も大きなパラダイムシフトIoTにともに力を合わせて挑戦する。」

と述べたほか、ARMの成長余力を考えれば「非常に安く買えた」と強調しました。

レバレッジ経営が一段と加速

ソフトバンクはARM買収の3兆3,000億円をすべて現金でまかなうとしていて、みずほ銀行と1兆円のつなぎ融資契約を結びました。

ソフトバンクの代名詞である借金をテコに成長するレバレッジ経営が一段と加速します。

日本企業による海外M&A

1位ソフトバンクグループイギリス:ARMホールディングス) 約3兆3千億円

2位:JT(イギリス:ギャラハー) 約2兆2千億円

3位ソフトバンク(アメリカ:スプリント・ネクステル) 約1兆8千億円

株価は発表を受け10%以上急落

この発表を受けた市場の評価は厳しいものになりました。

ここ1週間値上がりが続いていたソフトバンクグループの株価は、発表当日に一転、10%以上急落し終値5,387円となりました。

これは東証一部の銘柄のうちトップとなる下落率でした。

岩井コスモ証券の林卓郎氏は

ソフトバンクは携帯電話の周辺事業や社会インフラに関わる事業を進めているので、半導体の設計を手がけるARMは製造はしていないものの、かなり趣が異なる企業であり、シナジー(相乗)効果が孫社長の思惑通りに得られるのか、市場はやや疑念を持っている。」

と分析しています。

株価の動きに対し孫社長

「今までソフトバンクが大きな勝負にでるときには、毎回1回株価下がっているんです。

これは恒例のことなので私は最初からこのくらいは下がるだろうと思っていました。 ただし、一回下がって毎回上がってきているんですね。

ですから、もしソフトバンクに興味のある人は、今が買い時でしょうと僕は思いますけどね。」

と述べています。

ARM買収発表後の孫社長へのインタビュー

買収を発表した翌日、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」に生出演した孫社長は、番組出演者の質問に対し、以下のように答えていました。

 

- これからのソフトバンクは携帯やキャリアではなく、半導体分野が中核の企業体となるのか?

孫社長:そうですね。我々は一貫してインターネットをやっている。 半導体の製造とか設計もありますが、基本的にはインターネットの根元となる役割を担っている会社なんです。

これからIoTで全てのものがインターネットにつながっていく。

このIoTの分野の一番主役になる会社がARMだろう。

今から30年もたてば地球上の人工に匹敵するくらいのロボットの数が生まれると僕は思います。

自動車もすべてロボットになる。

今度は牛とか羊もインターネットにつながる。牛の首輪がインターネットにつながっていれば、どこにいるかが全てわかるわけです。

ありとあらゆるモノ全てがインターネットにつながる時代がくる。そのときの主役がARMだと。

だから3兆3,000億円は安かったなぁ。大バーゲンだぞと。

 

- それほどARMが有望企業であるなら、ほかの企業はどうして買収に動かなかったのか?

孫社長直接シナジーを生むような企業は独禁法上買収は無理なんですね。

たとえばARMを使っているアップルインテルサムソンなど色々ありますが、そういう会社がARMを買いにいくと独禁法上ダメということで政府の許可が下りない。

買える会社となると直接シナジーが見えにくい会社となってきます。

しかもこれだけプレミアムを上乗せして払うという、ちょっとおかしな経営者じゃないとそんなことやらないわけですね。

そこに我々のチャンスがあったということです。

 

- 今回のARM社の買収はIoT時代のプラットフォームを取りに行っているというとですか?

孫社長:そういうことなんです。

プラットフォームといっても一般の人はなかなか分かりにくいと思いますが、要するに社会基盤全体、業界の技術のスタンダード全部を取りに行くということです。

単にチップだけではなくて、ソフトがあって、開発環境があって、セキュリティがあって、教育・トレーニングの環境など全部のインフラを含めたものがプラットフォームです。

プラットフォームを築いた代表的な企業としては、GoogleMicrosoftだとかIntelがあります。

ARMは残された数少ない、しかも将来非常に大化けするプラットフォーム提供者の一社だということです。

日本の特に情報産業では、今まで一部の上のアプリケーションとか、一部の部品とかはあるんですけど、これまで世界の8割・9割のシェアがあるプラットフォームを持った経験が一度もないんです。

だからなおさら日本の人々にはイメージが沸かないかもしれませんが、僕はここが今一番うまみのあるところだと、面白いところだと考えたわけです。

 

- ARMにはいつから目を付けていたんですか?

孫社長:10年前です。Vodafone Japanを買収する時にスティーブ・ジョブズに会いに行きました。

その時スティーブはiPhoneを作るのにあたって、このARMをベースにした形で設計していたんです。

で、スティーブ・ジョブズがARMをベースにしたiPhoneを作ったから、GoogleもARMベースでアンドロイドを作って対抗した。

両方ともARMになったので、スマホの90数%がARMになったんです。

 

- 今回これだけの投資をして元を取るためには売り上げを何倍にもしなくてはいけないし色々なハードルがありますが、何年くらいのスパンで株主が見ても元を取れた状態になるでしょうか?

孫社長:少なくとも今回、市場に付いている価格の約4割のプレミアムを上乗せして買うことを発表しましたが、実はARMは1年間で30数%利益が伸びているんです。

ということは1年半で払ったプレミアムは元が取れたんじゃないか、という風にもいえるわけですね。

 

- 営業利益を5倍以上にしないと割に合わないともいわれていますが、5倍以上にできますか?

孫社長:当然そうなると思いますけれども。

上場会社として責任がありますから、数については言っちゃてはいけない立場なんです。

だけど、ものすごく大きくなる。

 

- どうしてもソフトバンクの有利子負債の大きさを問題視する声がつきまとうと思いますが?

孫社長:僕はケロっとしているんです。

ソフトバンクの準有利子負債に匹敵するくらいの規模の上場株を持っているんです。

それを差し引けば、実質負債ゼロじゃないかと。

負債ゼロで年間4,000億とか5,000億規模のフリーキャッシュフロー(税引き後の現金)が毎年今入ってくる状態になってますから、そうするとお金が余るんじゃないかと僕は思っています。

 

- 今回ARMの経営の独立性は守ると言っていましたが、ソフトバンクとしてはこれから先は事業会社というよりは、投資会社的な側面を強くしていくことになるんでしょうか?

孫社長:そもそも持株会社なんです。

僕は持株会社の社長としてソフトバンクの携帯部門の会社とか、アリババとか、Yahoo!Japanとかスプリントとか色々持ってる訳です。

色々持ってる会社の一つに今回ARMが加わると、 日常の業務についてはそれぞれの会社の社長にできるだけ任せて、僕は5年後10年後のその会社の長期的な戦略とかビジョンについて、それぞれの社長と会話をする。そういう役割です。

 

- 色々な会社がソフトバンクグループにできてきたわけですが、これからソフトバンクグループはいったいどんな会社になろうとしているのでしょうか?

孫社長総合的インターネット企業だと思うんですね。

基本的に携帯会社を買うときも何で今さら携帯電話の会社を買うのと言われたんですね。 でも僕はそのとき携帯電話の会社を買うつもりは全然ないんですよ。

バイル・インターネットの会社を買ってインターネット化していくんだと申し上げて、ですからやっていることは全部インターネットなんですね。

そもそも会社の名前がソフトのバンクでしょ。

今で言うクラウドです。当時クラウドという言葉がなかったけれども、クラウドの状態が生まれて、ソフトのバンク、データのバンクということでインターネットを最初からやりたかった訳です。

だからIot(Internet of Things)も同じで、まさにインターネットの将来をずっと一貫して追い求めている。

 

- この先シンギュラリティという、コンピュータが人間の英知を越えていくタイミングがくると言われていますが、そういったタイミングで主導権を持っていたいということですか?

孫社長:その一社になりたいと思いますよね。

そもそもシンギュラリティという人工知能ですけれども、これディープラーニングということで、コンピュータが自分で学習していくんですが、ディープラーニングの一番の鍵が何かというとデータなんです。

ありとあらゆる森羅万象のデータを一番たくさん集める。 集めるためにはそこにチップが入っていないといけない。

そのチップを世界一今すでに出荷しているのはARMじゃないかというわけです。

Intelの10倍くらい出荷しているわけです。

※シンギュラリティ:人工知能が人間の能力を超えることで甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうとする未来予測のこと。

 

- これがやりたかったら社長を辞めないと決めたんですか?

孫社長:そうです。この先10年くらいはやるんじゃないかと思いますけどね。

病気しなければね。

 

- 今回は失敗できない投資っていうことですか

孫社長:ここに僕の夢とロマンと命を懸けてやると、そういうつもりです。

 

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